第43回日本アカデミー賞で、「新聞記者」が主要3部門の最優秀賞に輝きましたね。
松坂桃李さんが最優秀主演男優賞、シム・ウンギョンさんが最優秀主演女優賞に輝きましたね。
そして、「新聞記者」が最優秀作品賞に選ばれました。
すごいね、主要3部門の最優秀賞をとってしまうとは。。。さすがです。
最優秀賞作品賞に輝いたのは……「#新聞記者」でした。おめでとうございます❗️#日本アカデミー賞43 #日本アカデミー賞 pic.twitter.com/lYebKgqahR
— 日本アカデミー賞協会 (@japanacademy) March 6, 2020
日本アカデミー賞で、最優秀賞に選ばれた ニコニコ笑顔の松坂桃李さん、シム・ウンギョンさんはガッツポーズがなんとも可愛い。^^
(C)日本アカデミー賞協会
今回は、そんな素晴らしい映画「新聞記者」のラストをネタバレするとともに、最後の杉原のごめんの意味についても紹介していきます。
目次
映画「新聞記者」のラストシーン・結末のネタバレ
「新聞記者」は、原作は、望月衣塑子『新聞記者』(角川新書)ですね。同名だからわかりやすいですよね。
映画が面白かったというかハラハラ・ドキドキしたので、原作本も読んでみたいと思います。
この「新聞記者」は官邸とメディアの裏側を描く、孤高のサスペンス・エンタテインメントとなっていましたね。
ざっくりの概要としては、
東都新聞記者・吉岡は、送り主不明の「医療系大学の新設」に関する極秘文書を元に、許認可先の内閣府を洗い始める。ほどなく神崎というキーパーソンに行き当たるが、神崎は投身自殺を遂げてしまう。一方、内閣情報調査室(内調)に勤める杉原は政権を守るための情報操作やマスコミ工作に明け暮れていた。しかし、外務省時代の尊敬する上司・神崎の死を通じて、官邸が強引に進める驚愕の計画を知ることになる。それぞれの全人生を賭けた、二人の選択とは!?
gyao.yahoo.co.jpより
私は、杉原が神埼の後任の都築のもとを訪れて、部屋で待たせてくださいと部屋に入り込んで、資料を探しているときが一番ドキドキハラハラしました。
だって、新しい大学新設関係の資料を探し出した杉原が、証拠のために、一枚、一枚、スマホで撮影をしてる間に、都筑が部屋に入ってきたらどうなるんだろうと思うと、なぜかドギマギしてしまう自分がいました。
杉原が早く写真を撮って、その部屋から無事に出ていけますように・・・って祈りつつ、映画に惹き込まれていきました。
では、ネタバレしていきますね。
外務省時代の元上司(神埼)が投身自殺
杉原の妻は出産が迫っていました。そんなある日、杉原は、久々に神崎と一緒にお酒を交わす機会を得ました。
神崎は、杉原が外務省で働いていたときの上司です。
外務省では、志を持って仕事をしていたんですよね。
上司の神崎から「誠心誠意、国民に尽くす」という信念を教わって、仕事に励んでいましたもんね。
懐かしいことを思い出しつつ、5年前に神崎がある事件で一人責任を取らされ、外務省を辞職したことの話になりました。
すると、神崎はこんなことを言いました。
「実はな、責任を取ったらこれからも面倒を見てやると言われたんだ」
「俺のようにはなるなよ」
それも自嘲気味につぶやいたんです。なんか意味ありげだなと思ってみていたら・・・
しばらくして、神崎が飛び降り自殺をしてしまったんです。
(なぜ投身自殺をしてしまったんでしょう?)
それは、
神崎は、軍事目的の設備が施された大学の認可に自分のはんこが押されていることに対しての苦しみがあって、その苦しみに耐えられなくなったからです。
大学新設計画は一旦流れたのに、再度、大学新設計画が立ち上がったんです。
この大学新設計画は、内閣府が日本に「生物兵器の設備を持っている大学を作ろう」としているという軍事目的の大学だったのです。
こんな恐ろしいことをしようとする大学の設置認可について、神崎ははんこを押してしまっていたのです。
きっと、神崎は「家族を守るために、今の生活を守るために」という理由でやってしまった行為でしょう。
でも、神埼には良心の呵責があり、その呵責に耐えられなくなってしまい、死を選んでしまったのです。
内閣情報調査室は不都合ニュースをもみ消すのが仕事
内閣情報調査室に移動になった杉原の任務は、現政権に不都合なニュースをコントロールすること!
内閣情報調査室の上司である多田は、「情報を操作することが日本のためなのだ」と正論のように述べるわけです。
(えっ? 本当の情報を伝えるのではなく、情報操作した情報を国民に与えることが日本のためなの? おかしいでしょ、それ!)
重大な事件があっても、本来逮捕されるはずの事件が、しゅるしゅると闇に葬られ、何事もなかったかのように終わることってありますよね。
時間が経過して、「あれ、あの事件ってどうなったんだっけ?」というもの、結構ありますよね。
これって、裏で大きな力が動いたから、その事件については触れられないようになるというね。
(こんな事件って、私たちが気に止めていないだけで、たくさんあるはず。)
(私たちは、本当の一次情報を得られているんだろうか?と自分の頭でちゃんと考える必要がありますよ。本来の一次情報って、なかなか手に入れることができなくなっているから。)
杉原は正義を貫けるのか、それとも権力に屈するのか
神埼が残したサングラスをした羊のイラスト(羊の目の部分だけが黒く塗りつぶされている)は、東都新聞あてに、大学新設計画に関する極秘情報が匿名FAXで送られてきたときのイラストと同じものでした。この羊のイラストは、神崎が描いたものでした。
また、神崎は、内閣情報調査室が極秘に神埼をマークしていたんですよ。
この内閣情報調査室が神埼を極秘にマークしていたことを知った杉原は、神埼がなぜマークされているのか疑問に思い、調べるようになります。
どうやら神崎は新設大学に関するなにかの情報を持っていたようです。
その情報とは・・・
金庫の中にあったのは、「DUGWAY SHEEP INCIDENTS」というタイトルの洋書。
DUGWAY SHEEP INCIDENTS とは、ダグウェイ羊事件
ダグウェイ羊事件は、1968年に起こった羊の大量死事件である。当時、現場から程近いアメリカ陸軍の実験施設「ダグウェイ性能試験場」では化学兵器および生物兵器に関する実験が行われており、事件との関連が指摘された。
wikipediaより
神崎は、「内閣府が日本に、生物兵器の設備を持っている大学を作ろうとしている」ということを知ってしまい、そのような生物兵器の設備を持つ大学を新設させてはいけないということを杉原に伝えたかったようです。
杉原も「生物兵器の設備を持つような大学」を新設させることは非常に危険なことなので、神崎が自殺した本当の理由を世間に公表することに賛同し、女性記者である吉岡が書いた記事が新聞の一面に載ります。
こうやって真実が新聞に載ったあとに、
杉原は上司の多田に次のように言われます。
「外務省に戻りたいか? しばらく外国に駐在しろ。そのうち、世間は忘れる。そのかわり、今持っている情報はすべて忘れろ」
「前言撤回するのは決して恥ずかしいことじゃないぞ」
と捨て台詞を言われます。
(これって人の弱みにつけ込んでいますよね。人の欲にも訴えかけてるし。)
杉原は、信頼していた元上司の神埼の自殺の真実を突き止め、正義を貫こうとしていましたf。
本当だったら、新聞に真実が出て、この新聞の内容が真実である証拠として、杉原の名前を出してもいいと言っていたので、女性記者の吉原は「続報として杉原さんの名前を出します」と杉原に許可のもらうため、携帯電話を鳴らし続けていた。
でも・・・杉原の頭の中は、多田の甘い言葉が渦巻いていました。
多田の甘い誘惑に乗ってしまうのか、それともこのまま正義を貫き通すのか。
すごく苦悩に満ちて、頭を抱えてしまう杉原が印象的でした。
最後の杉原の「ごめん」の口パクの意味は?
道を隔てて、杉原と吉原がいます。横断歩道の向こう側に杉原がいるのをみつけた吉岡は大きく手を振ります。
杉原の顔は、むちゃくちゃやつれていました。
彼の唇が力なく動くんです。
「ごめん」
この「ごめん」という言葉を口を動かして伝えている、口パクの杉原を、吉岡は目を見開いて見ていた。
驚いたような、物悲しいような、悔しいような、なんとも言えない表情で見つめていましたね。
味方であり、同志であった杉原なのに、まさか「ごめん」と伝えられるとは・・・
この「ごめん」の意味について映画では説明はありませんでした。
そう、この「ごめん」についての意味は私たちに対する問いかけなのです。
この「新聞記者」の映画を観ている私たちに、「ごめん」の意味は問われているのです。
私には、この杉原の心の葛藤がすごく伝わってきました。
本当は正義をとりたい。
でも、愛する妻と生まれてきたばかりのわが子のために、そして自分の欲も多少あることで、有利な条件の方に流れてしまう。
いやしかし、本当の真実を伝えることが大事なのではないか・・・
こんな思いがぐるぐると頭の中で渦巻いていたんじゃないかな。
この映画では、現在の日本の政府関連の事件をあからさまにイメージさせる内容になっています。
今の日本は特に政治家の癒着、文書改ざんなど、いろいろありすぎますよね。
こんな政府関連の事件について、もっと国民は声をあげていくべきなんだと感じました。
ただ、日本人は「平和ボケ」しているので、諸外国のように国民が一斉に声をあげることをしなくなってしまいました。
本当はこんなことではいけないんでしょうね。
(こんなことを言っている私も情けないかな。言うだけ言っても、行動が伴うかと言えば「?」です。)
また、映画の中で、SNSなどを使って政府が情報操作をしている場面がありましたよね。
これって、映画の中だけの話なのかな?とすごく怖くなりました。
きっと中国が国民に対して情報規制をしているように、我が国でも多少なり情報操作はなされているでしょうね。
そう考えると、私たちはどの情報が正しくて、どの情報が嘘(偽り)なのかを見極める力が必要となってきますね。
正しい情報を見抜く力、情報に踊らされない力、そんな力を身につけられるようにしていきたいなと思いました。
人間って、本当に弱い生き物です。
だから、本当は正義を貫きたくても、愛する家族や守るべき人があった場合は正義よりも別の方を選択してしまうということもあるかと思います。
だから、杉原が最後に言った「ごめん」は、正義を貫きたいとは思いつつも、条件のいいものを選択してしまう自分なんだという意味だと私は捉えました。
きっと、杉原も、月日が経過して、神埼が言ってた「俺のようになるなよ」という言葉を思い出すのではないでしょうか。
そして、杉原も良心の呵責に耐えられなくなるかもしれませんね。
あー、本当にこの映画はいろいろと考えさせられる映画ですね。
まとめ
「新聞記者」は本当によくできた社会派映画ですね。ここまで映画でやっていいの?って思ってしまいました。
韓国映画の社会派映画といえば「パラサイト半地下の家族」です。
韓国社会の格差社会の現実を映画として撮られていて、問題提起をされていますよね。
ようやく日本でも社会問題について、問題提起ができる映画が作られるようになってきたというわけでしょうか。
今回の「新聞記者」のような問題提起のできる映画がどんどん撮られるようになれば、日本もよりよく変わっていくことができるように思います。
それにしても、松坂桃李さん、NHK連ドラ「わろてんか」のときのポンコツなダメダメ亭主とは打って変わって、こんなにすっとしたかっこいいエリートになれるんですね。^^
(もちろん俳優さんだから、ちゃんと演じられるんでしょうけど。松坂桃李さんって演技の幅、ハンパないですね~)
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最後までお読みいただき、ありがとうございました。