『借りぐらしのアリエッティ』は、宮崎駿が企画・脚本を担当しましたが監督は別の方でしたね。
そうです。あの「メアリと魔女の花」の監督である米林宏昌さん。
ひと夏の冒険ファンタジーな映画ですよね。
ファンタジー作品なのに、病弱な男子のわがままさにちょっとうんざりしてしまいました。
「君たちは滅びゆく種族なんだよ」と翔がアリエッティに言うシーンに、「えー、そんなこと言っちゃうの?」とモヤモヤしてしまった私。
今回は、そんなモヤモヤを醸し出してくれた男子に焦点を当てて、二人の男子の共通点と病弱な男子が一変する理由について解説していきますね。
目次
借りぐらしのアリエッティと秘密の花園の共通点
『借りぐらしのアリエッティ』には病弱な男子が登場します。一人は病気の療養のために1週間叔母の家に預けられた翔。
もう一人は、翔が読んでいた本「秘密の花園」の中に出てくる「歩くことを禁じられている少年」であるコリン。
翔が読んでいた「秘密の花園」↓
彼らは共に境遇が似ている点が2つあります。
●少年(コリン)は存在を隠されている。翔は手術直前となっても母親が帰ってこない。
どちらも親や身内から存在を「ぞんざい」に扱われていますね。
ぞんざいとは・・・
取扱い等が丁寧でなく、なげやりで乱暴なこと。
●少年(コリン)はベットで寝たきりなので、生きる気力がなくなっている。
翔は心臓が悪く手術の成功率も低いとされている。
どちらも「生き続ける」ということに対して、非常にむつかいい状況に置かれていますね。
病弱な男子の存在
『借り暮らしのアリエッティ』では、病弱な男子は心臓病を患っています。「秘密の花園」の中に登場する病弱な男子は、将来のことを案じられてほぼベットで生活するか車椅子で移動するかの生活を送っています。
どちらも病弱な男子という共通点があります。
では、それぞれの病弱な男子について、説明していきますね。
借りぐらしのアリエッティ・翔
翔のプロフィール
性別:男性
年齢:12歳
病気:心臓病
両親:離婚し父とは別居、母方に引き取られる。母は外交官。
手術直前となっても母親が帰ってこない翔。
母親は外交官であるため、母が不在の間、アリエッティが住んでいる貞子の家にやってきたのだ。
病気療養のためにやってきた翔は、ちょっと走って移動するだけで、胸に刺さるような激痛が走る状態。
かなり悪い状態です。
だから、なるべく興奮せずに、一日をベットの上ですごすことが多いのです。
ときどき丘の上で寝転んで過ごしたりもしていましたね。
(自然の中で寝転んでいたほうが、ベットで過ごすより、何百倍も気持ちいいよね。)
そんな状態で生きてきているので、翔はかなり人生に対して投げやりな感じです。
そんな投げやりな感じは次のようなセリフから読み取れます。
アリエッティに対して、「小人は滅びゆく運命だ」というセリフ。
こう言った後には、「死ぬのは僕の方だ」と発言しています。
悲観的な考えが伝わってきて、こちらまで悲しい気分になってしまいます。
本当は、基本的には穏やかで心優しい少年なんですよね。
・小人を見たことは秘密にしていた。
・アリエッティが落とした角砂糖を届けに行った。
・病気で運動を制限される身であるのに、アリエッティの母親救済に協力してあげた。
心臓の手術を控えていた翔は、どこか生きることに投げやりになってしまっていたため、悲観的なセリフとなって出てしまったのでしょうね。
秘密の花園・コリン
コリンのプロフィール
性別:男性
年齢:10歳
病気:成長して歩くようになったら「せむし」になると父親に心配され、立たせないで寝て暮らすようにされている
両親:母親は他界している。父親はせむし男であり内向的な性格
背骨がかがまって弓なりに曲がる病気。背が後方に盛りあがっている状態。その人。
コリンの父親は、青年期にせむしとなった。
その容姿ゆえに内向的になり、人との関わりをうまく保てなくなっていた。
コリンは秘密裏に生活をしていた。
父親自身が青年期にせむしとなった経緯がある。
そのため、息子が成長して立って歩くようになると、体重の負荷によって背骨が曲がり自分と同じようにせむしになると思いこんでいた。
だから、立たせないで寝て暮らすことを望んだ。
また、父親と同じようにせむしになるならコリンは死んだほうがいいと言っていた。
このような状況だったので、コリンは鉄と革で作った背中を真っ直ぐにしておく道具を付けさせて寝かしっぱなしにさせていた。
コリン自身は周りの者から、「せむしになる」、「長生きできない」と噂される声を聞いて育ってしまった。
だから、病弱で我儘(わがまま)なだだっ子となっていったのだ。
共通点・病弱な男子が一変する理由は?
上記のような病弱な男子が、それぞれ女子のおかげで生活が一変する事態が起こります。翔にはアリエッティの存在が、コリンにはメアリーの存在がそれぞれの人生を変化させていってくれます。
翔が生きる気力を取り戻した理由
翔はアリエッティとの出会いによって、病気を克服することができた。
アリエッティが去っていった時に言った翔の言葉
「アリエッティ、君は僕の心臓の一部だ。忘れないよ、ずっと。」
心臓の手術を控えた翔は、どこか生きることに投げやりになってしまっていました。
でも、自分よりも小さく弱くてもたくましく生きる小人たちの存在を知ることで、「生きる気力」、「手術に向き合う気力」が湧いてきました。
この最後の言葉こそが、翔を前向きに成長させてくれたアリエッティのおかげで出てきた言葉だと思われます。
コリンが奇跡を起こした理由
メアリーは最初、コリンの存在を知りませんでした。
でも、ふとした拍子に「叔父の息子」であるコリンのことを知ります。
コリンは病気のため、毎日寝たきりの生活。
周囲から存在を隠されて誰とも会わずに生活している。
そんな生活をしているコリンのもとに、メアリーは何度も訪れます。
最初はコリンは心を閉ざしていました。
(ずっと他人には会わない生活をしていたコリン。
せむしになる」、「長生きできない」と言われ続けていたコリンは、メアリーに対しても心を開くことはむつかしいですよね。)
でも、何度も何度も訪ねてくるメアリー。
明るいメアリーの存在が、コリンの凍りついた気持ちをほぐしていくことになります。
少しずつ仲良くなっていく二人。
コリンとメアリーが秘密の花園へ出かけることになります。
そこで、奇跡が起こります!
なんと、コリンが花園で、車椅子からおりて、大地を踏みしめるのです。
生きることに気力を失っていたコリンですが、歩くことができた喜びで、その後、徐々に回復をしていくことができました。
そして、花園の手入れを手伝えるほどになっていったのです。
コリンもまた、メアリーという女の子の存在によって、「生きる」ということに前向きになれたということですね。
まとめ
『借りぐらしのアリエッティ』に登場する男の子は、最初は病弱でわがまま男子でした。それがそれぞれのとある少女との出会いによって、徐々に「生きる」ということに対しての捉え方に変化が生じます。
生きる気力を取り戻していきます。
そして、病弱だった男子は、ともに前を向き歩きだします。
「生きる」ということの捉え方次第で、人生いい方向に動き出すというメッセージを伝えてくれているように感じました。
***余談***
この『借りぐらしのアリエッティ』は自分自身が小人になったような不思議な感覚も味わうことのできる映画なので、その点も楽しむことができますよ。
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今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
では、また次回のブログでお会いしましょう。(^_^)/~
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